おいしいウニとまずいウニ

おいしいウニも成熟の状態、餌、加工、貯蔵条件など様々な状況でその味は大きく変わってしまう。おいしいウニとまずいウニは紙一重なのだ。

食用種と非食用種

日本近海では100種類以上のウニが生息しているが、食用となっているのは主に6種で、エゾバフンウニ、キタムラサキウニ、バフンウニ、ムラサキウニ、アカウニ、シラヒゲウニである。これら以外にもツガルウニやガンガゼなどがあるが、漁獲量は少なく市場で出回ることは稀である。つまり、日本近海のウニのほとんどが非食用種である。

ウニの成熟段階との関係

ウニは5段階の成熟段階を繰り返して成長するのだが、ステージ4(完熟期)、ステージ5(放卵放精後)になると生殖巣が溶けるようになってしまうことから食用には不向きである。そのため、国産食用種のウニは完熟期と放卵放精巣後の時期は基本的に漁獲対象外となっている。
ミョウバンを使用することで溶けを防ぐことができるが、ミョウバンによる渋味、苦味などが味を落とす原因となっている。

バフンウニとプルケリミン

バフンウニは津軽海峡付近から九州まで広く分布している。小型のウニであるが、ウニの中では最もうま味、甘みの強い甘美なウニであると言われている。
津軽海峡にはエゾバフンウニと似ているがとても食べられないニガガゼ、イヌガゼとと言われるウニが生息しているが、これもバフンウニである。同じウニでも地域により美味しい、苦いの味の差が激しいのがウニの特徴でもある。そのため、バフンウニが漁獲対象となっているのは福井県以西であり、東北地方のバフンウニは苦味が強いため漁獲対象とはならない。
同じバフンウニでなぜこれだけ味が違うのか?
その理由は、ウニの生殖周期が関係している。ウニの成熟期には苦味を有するプルケリミンという成分が蓄積する。東北地方のバフンウニは福井県以西のウニに比べ成熟状態が長引くため、プルケリミンが常に蓄積した状態になってしまい苦味が強く食用として不向きである。

ウニ漁獲後の取扱い

ウニは漁獲後水槽で畜養して生きた状態にすれば鮮度低下の心配はないが、殻付きで水から上げた状態のままにするとウニは弱り、異臭が生殖巣にも広がり品質を大きく低下させる。
冷蔵条件が整いウニが元気であれば異臭の問題はある程度回避できるが、それでも品質が保たれるのは数日である。
成熟による溶けの抑制のためにミョウバンが用いられることがあるが、ミョウバンは渋味や苦味などの不快味を有するため、ウニ本来の味が落ちてしまう。最近ではミョウバンを使用しない塩水パックウニの流通も増えている。
多くの水産物では凍結保存される場合が多いが、ウニは冷凍耐性が弱く、解凍後の身崩れ、大量のドリップ流出が品質を大きく低下させる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です